1973年生まれ東京都出身。椅子張り職人の父の背中を見て育ち、自身も椅子張り職人となる。インターネット黎明期よりWEBサイトを活用した集客に注目し、AZUMAの名前を全国に広めることに成功。2011年有限会社AZUMAの二代目に就任し、現在に至る。
椅子張り職人の父が立ち上げた当社の前身、「東加工所」が子どもの頃から身近にありました。物心つく頃にはクッションにウレタンを詰める作業などを手伝って、お小遣いをもらっていましたね(笑)
お客様から「君のお父さんの仕事は凄いんだよ」と昔から言われていたこともあって、中学を卒業したら父のような椅子張り職人に目指そうと思っていました。だから、はじめは高校に行かず卒業したらそのまま職人の道に進もうと考えていたのですが、父に反対されて、高校、大学へと進学したんです。父には、「もっと広い世界を見て、いろいろなことを経験してこい。」と言われましたね。
一時は住宅メーカーへの就職も考えたのですが、椅子張りの仕事がしたいという気持ちをどうしても捨てきれず、22歳のときにようやく父のもとで、椅子張り職人としての第一歩を踏み出すことができたんです。
新しい椅子が安く手に入るようになった今でも、長年使ってきた椅子や思い入れのある椅子をずっと使いたいという方はいらっしゃいます。そうした方々の想いに応え、一度張り替えたら10年は使い続けられる仕事をする。それがAZUMAで腕を振るう職人のモットーです。
修理には全力で取り組んでほしいので、私は職人に案件の金額如何を伝えません。職人たちには利益に囚われることなく、常に今持っている最高の技術で、仕事をしてほしいと考えているからです。職人たちが椅子張りに集中できる環境を整えることが私の仕事であり、AZUMAの技術を受け継いだ職人を育て、世に送り出していくことが、今の私が掲げている目標なんです。
独立を支援しているからこそ、職人たちにはAZUMAでしかできない経験をさせたいと考えています。例えば、『丸革』や『馬革』と呼ばれる希少な素材を扱うようになったのも、そういった思いがあったから。職人がどんな椅子の張り替えにも対応できるように、触れられる素材や、経験できる仕事を今後も増やしていきたいです。
また、椅子張りの全工程を経験できるのも当社ならではの特徴だと思います。分業ではなく、生地のはがしから、下ごしらえ、裁断、縫製、張りまで一貫して1人の職人が携わり、座り心地にトコトンこだわっているんです。――そんな努力の甲斐もあって、リピーターの方も多くもいらっしゃいますね。
職人として1人立ちするには10年の月日が必要です。
決して楽な道のりではありませんが、まずは3年じっくりと取り組んでほしいと思います。そこを乗り越えればきっと大丈夫。椅子張り職人としてともに成長してきましょう!