カタログNO_D558
きっかけ | HPより | 当社への連絡 | お電話 |
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引取方法 | お持ち込み | 引取日 | 2003-02-18 |
依頼加工内容 | 工房での作業 | お預かり期間 | 16日間 |
納品方法 | 工場渡し | 納品日 | 2003-03-06 |
納品場所 | 埼玉県川越市 IT邸(個人宅) | ||
納品住所 | 埼玉県川越市 | ||
ご注文回数 | 初回 |
加工内容
椅子種類/分類1 | デスクチェア/デスクチェア |
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加工内容 | 修理・補強 |
数 量 | 1本 |
費用 ご依頼条件にて異なる |
張り直し加工費、ウレタン代 ※部分的な加工の場合はその都度見積もりとなります。 |
作業内容の詳細 | ・座面ウレタン交換 ・背もたれクッション部分修理 ・オリジナル生地再利用 |
Before & After
デスクチェア修理・補強
HPをご覧いただき、デスクチェアの座面ウレタン交換の件で直接お電話をいただきました。ウレタン交換に関して、概算でお見積もりいただいた後に、ITさんが直接工場へデスクチェアをお持ちいただけることになりました。座面のウレタン交換に関しては、お電話でお見積もりさせていただいたとおりでしたが、背もたれのクッションの取り付け部分の革が途中まで破けていました。せっかくですので背もたれ部分の修理も請け負わせていただければと思いお見積もり差し上げました。その場で背中部分の修理のご依頼もいただきました。
座面クッションの交換に関しては、もとの材質のウレタンよりも硬めにしようと考え、硬めのウレタンの上に柔らかくて弾力のあるウレタンをのせて二重構造にしました。もともとデスクチェアの使用用途は机に向かって作業をするためのものですので、あまり柔らかすぎては、作業をしにくいですし、長く腰掛けていると腰が疲れるものになってしまいます。この2点をカバーするために、硬めの座面を製作しITさんのデスクチェアの座面の中身としました。これによって、しっかりとした座りで長時間腰掛けていても疲れにくい、また、作業しやすいデスクチェアに変化したと思います。
背もたれのクッションは上部で本体に取り付けられているタイプでしたが、上部から強い力が加わったか何かで、取り付けようの革が途中まで切れてしまい。その意味をなさなくなるところでした。革だけですと破けやすいので、革の裏に布地を1枚補強のために当てたものをクッションへ一緒に縫い込んで、本体に打ち付けております。革は羽分的に伸びやすくある程度伸びると切れてしまう恐れがありますが、あて布をしてあげることで、その現象を防いでおります。
ReChair椅子張り職人の仕事
1.オリジナルのウレタン
オリジナルのウレタンはウレタンフォームの上に綿を敷き、表面の柔らかさを表現していたようです。さらに中のウレタンも私たち”AZUMAのイス張り職人”が考えているよりは、柔らかく、もう少し硬めのウレタンに下法でよいのではないかと考えました。
2.かぶせ
Sバネの上に「かぶせ」と呼ばれる工程があります。この工程はバネの上に直接ウレタンなどがのらないようにしています。バネの上に直接ウレタンがのるとウレタンにSバネが食い込んでウレタンを痛めてしまいます。この「かぶせ」の工程を省いてしまうメーカーも少なくはありませんが、このデスクチェアはもともと「かぶせ」の工程が存在していました。しかし、長年の使用によって「かぶせ」の布地が多少伸びてしまっていたので、一度剥がして、再度引っ張り直して打ち付けました。
3.ウレタン作り
今回の作業のメインは、「中身ウレタンの交換」ということでしたが、硬めのチップウレタンの上に柔らかくて弾力のある仕上げようのウレタンをのせて貼り付けました。さらに、厚みの部分にチップウレタンが見えていますが、この部分にも仕上げようのウレタンを巻いてチップウレタンが見えなくなるように囲みます。”AZUMAのイス張り替え”チップウレタンと張り地が直接接しないようにしています。チップウレタンは硬くて多少の凹凸があるため、張り地を直接張るとその凹凸が出てしまうことがあるために、仕上げ用のウレタンを巻いて下ごしらえを完成します。下ごしらえが終わると張り地を裁って、縫って、張り込んでくみ上げ作業完了となります。
お客様のレビュー
埼玉県川越市 IT邸(個人宅)
1.加工の仕上がりに関するご感想
ウレタンを2種類採用することによって、座り心地がアップ。その結果ウレタンが若干厚くなったにもかかわらず、張替え前の折り目が目立って見苦しいということもなかった。さらに、背もたれも同時に直していただきましたが、その部分の革に関しては無料でのご提供ということで、心が温まるサービスを感じることができた。ただし、一部補強に使われた皮革にひび割れのようなものが見えることが気になるが、いまのところ何ら問題はない。
2.加工を注文するまでの不安
非常に豊富な情報が含まれたホームページをほぼすべて読んでいたので、御社のイスに対する心構えをよく理解した上で、仕事をご依頼しているので何も不安はなかった。敢えて挙げるならば、張り替え費用ということだろうか。在庫として適当な皮革などがある場合には皮革代は無料になることもあるようだが、基本的には技術料と材料費なので、ホームページの実例を見ても概算しかできず、やや不安だったことも確かである。しかし、本当に技術力が高く、かつ、イスに対して深い愛情をかけてくださる職人さんが多く、そういう方々の仕事ぶりを見ていると、ある程度の出費も納得した上で仕事のご依頼ができた。
3.アラ・カワの接客態度
第一印象として感じるのは、非常にソフトな話し方をされるということ。ご自分では「もっともお客様に近い職人」なんて表現をされていますが、イスに対する思い入れ、あるいはお客さんから預かったすべてのイスに対する愛情は非常に素晴らしい。また、お客さんのイスを調べる場合にも、膝をついた状態で非常に丁寧に扱ってくださる。そして、いくらそのイスが劣悪な状態にあっても、決して嫌な顔をされることはない。また、張替えの方法に関しても、複数の補修手段を提示した上で、分かりやすくご説明してくださるので、私達も納得した上で仕事をお願いできる。
4.その他、お気づきになられた点
ここまでもかなり率直に申し上げてまいりましたが、もう少し言わせていただきます。背もたれの堅さを調節するネジが紛失していたのであるが、それを在庫の中から探してサービスしてくださった。こういう部分での「無償のサービス」というものは何よりも嬉しかったりする。御社には他社にはない真心あふれるサービスのさらなる研鑚を希望する。最後に敢えて苦言を申し上げるなら、金属部分をピカールで磨いてくださるという口頭でのお約束をいただいていたにも関わらず、実現されなかったこと。もちろん、ピカールはDIYショップでも手頃な価格で売られているが、あそこまでの分量は必要ない。やはり有言実行でありたいと日々思っている私としては、最後までしっかりとやっていただきたかったところである。とはいうものの、アラ・カワさんのイスに対する、あるいはお仕事に対する態度は「誠実」そのものであることは間違いない。だからこそ、私は仕事を安心してお願いすることができた。