maruni(マルニ)社製
カタログNO_C436
ベルサイユ(ベルサイユシリーズ)
背付きダイニングチェア(背全体張り)
きっかけ | HPより | 当社への連絡 | 見積もりフォーム |
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引取方法 | お引き取り | 引取日 | 2002-09-26 |
依頼加工内容 | 工房での作業 | お預かり期間 | 14日間 |
納品方法 | 納品 | 納品日 | 2002-10-10 |
納品場所 | 千葉県佐倉市 YA邸(個人宅) | ||
納品住所 | 千葉県佐倉市 | ||
ご注文回数 | 2 回|お客様リピート実例へ |
加工内容
製造メーカー | maruni(マルニ)社製 |
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商品名(シリーズ名) | ベルサイユ(ベルサイユシリーズ) |
椅子種類/分類1/分類2 | ダイニングチェア/背付き / 背全体張り |
加工内容 | 張り替え / ウレタン交換 |
数 量 | 6本 |
生地 | 布地 |
柄/フェイス/織り | 花柄 / モケット |
生地調達方法 | 在庫張り地使用 |
加工費 | 背付きダイニングチェアの張り替え加工費 @ 27,500 円(税別 25,000 円) |
その他の費用 ご依頼条件にて異なる |
布地代(在庫布地につき特値)、ウレタン代、送料(引取・納品代) ※加工費の他に上記の費用がかかりました |
作業内容の詳細 | 中身ウレタン交換 |
Before & After
HPをご覧いただき、「maruni(マルニ)」社製の背付きダイニングチェアの張り替えの件で、「お見積もりフォーム」からメールにてお問い合せいただきました。ベルサイユシリ?ズのダイニングチェアだということで、これまでのHP実績でも数多く張り替えさせていただいております。とても座り心地の良いイスなのですが、座り心地が良い故に座面のSバネの沈み込む分が原因となってウレタンが裂け、布地が裂けてきてしまいます。しかし、数年でこのようになってしまうことはありません。
お見積り
このダイニングチェアをお持ちの方のほとんどが10年以上お使いになった後に張り替えさせていただいております。”AZUMAのイス張り替え”では張り替え時期のこのダイニングチェアにいろいろな手を加えて張り替えさせていただいております。「maruni(マルニ)」社製の背付きダイニングチェアの張り替え加工費は1脚 12,000円。「在庫布地でお得に張り替え」で布地をお決めいただいたので布地代は加工費に含ませていただきました。この他に引き取り・納品代がかかります。
「マルニ」社製の「ベルサイユ」シリーズのダイニングチェアはとてもしっかりとしており、しかも、張り替え時期になってもあまりぐらついたり等は見うけられませんでした。肘の部分だけは多少のぐらつきがありましたが、ネジで固定してある取り付け方法でしたので、ネジの増し締めを行い、しっかりと固定できました。普段はそのネジは隠れているため、張り替えの時にしかネジの増し締めはできないようになっていましたので、今回の張り替えを機に同様のメンテナンスを数カ所行いました。”AZUMAのイス張り替え”では、表面の張り地だけの交換を張り替えとは思っておりません。”AZUMAのイス張り職人”が手を掛けさせていただいたイスとして、再度長期に渡ってご使用いただきたいと考えておりますので、私たちの手間で済むメンテナンスはさせていただいております。
今回YAさんにお決めいただいた張り地は弊社の在庫布地のものでした。最初にHP内でのページからお選びいただいた布地の柄が大きい柄でしたので、全体の柄のイメージがつかみにくいので、確認のためにお引き取り当日に、布地の切れ端をお持ちしました。(*通常は在庫布地の持ち出しはしておりません。)その際に他にも大柄の布地を数種類お持ちしましたが、今回お決めいただいた布地は、最初の布地とは違ったものとなりました。工場の在庫布地で張らせていただくことの条件として「ノンクレーム」とさせていただいておりますが、張り上がった後に「張り替えは失敗だった」と感じさせてしまうのも残念なので、例外ですが工場の在庫布地を持ち出しました。その行動は的中でした。結果として、座り心地、張り地ともにYAさんのご家族の皆様にもご満足いただけたようで、精一杯の仕事をさせていただいた甲斐がありました。
ReChair在庫生地よりお選びいただきました
ReChair在庫生地 NO.225
*ReChair在庫張り地を1,500円/mにて提供しております。条件として張り地は画面上でのみご覧いただくこととなりますが工房にお越しいただけましたら実際の張り地をご覧いただくことが可能です。また、数量に限りがありますのでご注意ください。ReChair在庫張り地は「ReChair在庫サンプル帳」を参照。
ReChair椅子張り職人の仕事
”AZUMAのイス張り替え”の作業風景 バネ吊り
「マルニ」社製、「ベルサイユ」シリーズの背付きダイニングチェアの張り替えということですが、このダイニングチェアは座面の弾力を出すためにSバネを使用しています。ダイニングチェアのほとんどが座板の上にウレタンをのせ、布地を張っていますが、Sバネを使用することで休息性を盛り込んだダイニングチェアになります。それ故の難点も出てきます。その難点とは、人が腰掛けたときの、Sバネとイス本体の木枠とに段差が生じますが、その繰り返しによって、「かぶせ」と呼んでいる麻布が切れ(写真:左)、ウレタンが切れ(写真:右)、布地が切れてしまいます(写真:下)。
しかし、これは欠点ではなく、難点です。その理由は、欠点であれば、10数年も保ちません。あくまで”AZUMAのイス張り職人”が、現状を見て、欲張るならばもう少し手を加えたいと考えたまでです。
張り替えて新品以上に....」のコンセプトを掲げている”AZUMAのイス張り替え”では、このように考えました。「Sバネと木枠の段差が少なく抑えることができれば、かぶせやウレタン、張り地が痛みにくくなる。」そこで以前から行っている工法が「Sバネのバネ吊り」です。バネ糸でSバネと木枠を交互に絡げてあげることで、Sバネと木枠との間を「面」にしてしまうことで段差ができなくなります。バネ糸で絡げた後もSバネの上下の伸縮運動は適度に行われますのでSバネの弾力そのものを損なうことはありません。
バネ糸で絡げたあとに「かぶせ」とよんでいる工程に入ります(写真:左)。「かぶせ」はSバネが直接ウレタンに食い込まないように、または、ウレタンなどがくずれても下に落ちないようにと、いくつかの理由が挙げられます。ウレタンが主流になった近年ではこの工程を省いてイスを張っているメーカーも見かけますが、「マルニ」社さんは、さすがにこういった細かいところまでちゃんと手間をかけてイスを製作していますね。私たちと考え方が一緒で嬉しいですね。さて、この上に硬めのウレタンをノリ付けし、その上から座面をくるむように柔らかくて弾力のあるウレタンをノリ付けします。(この工程の写真は取り忘れました)。ウレタンの上から張り地を張って仕上げます。
お客様のレビュー
千葉県佐倉市 YA邸(個人宅)
1.張り替えの仕上がりに関するご感想
世の中は「使い捨て」の時代から「良い物を長く使う」という時代に確実に変化していると思います。我が家のダイニングセットも当時の生活基準からすれば無理をして購入したもの。椅子の生地が破れウレタンが出てきてもだましだまし使っていました。
そんな時でした東加工所のホームページを見つけたのは。他のHPと異なる詳細な製作工程の写真や職人としてのこだわりと誇りを感じました。さらに我が家と同じマルニの椅子の修理例が多い事が気に入り、お願いする事にしました。
出来上がりは大いに満足しています。とくにウレタンの硬さは何とも言えません。何しろ形の崩れてしまっていた状態に慣れてしまっていたのですから。新品であった頃を思い出しつつ、そのときよりもいいかもしれないと感じています。「世界に一つしかない我が家の椅子」を満喫しています。
2.張り替えを注文するまでの不安
これは生地に尽きます。我が家はストックのある生地の中から選んだのですが、最初選んだ生地は5センチ角の映像ではとてもいいと思ったですが、椅子を引き取りに来ていただいた時にその生地を見てびっくり。すごく派手なのです。やはり生地は直接見てさわって決めないといけないと思います。
料金等はHPに明確に記載されていますし、事前に見積もりを出していただいていますので不安はありませんでした。納品の前にご無理を言って出来上がりの状態をデジカメで撮って、メールに添付していただいたので出来上がりに不安はありませんでした。
3.アラ・カワの接客態度
ネットは人の顔が見えないので色々な意味で不安があるものです。今回見積もりの問い合わせをしたのは日曜日でしたが、早速その日のうちにご連絡を頂き、こちらがびっくりしてしまいました。その誠実な対応にお願いするならここが良いと直感させるものがありました。
引取りの日も遠方にもかかわらす、時間通りに来ていただきました。聞けば随分早く来て待たれていたとの事。やはり誠実さを感じました。
4.その他お気づきになられた点
インターネットは世の中を便利にし、新しいビジネスの形を作り上げました。もしネットがなければ、椅子の修理や東加工所の存在を知る事は無かったでしょう。しかし、ネットではまさにバーチャル、いい加減なビジネスというか詐欺まがいの業者も多く存在しています。我々が東さんの存在を知れた事は幸福な事であったと思います。
東加工所さんの仕事はまさに「職人」仕事。「職人」の自信とポリシーを感じます。これからも皆さんの喜ばれる仕事を沢山していってください。