カタログNO_B162
きっかけ | HPより | 当社への連絡 | お電話 |
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引取方法 | お引き取り | 引取日 | 2001-09-22 |
依頼加工内容 | 工房での作業 | お預かり期間 | 38日間 |
納品方法 | 納品 | 納品日 | 2001-10-30 |
納品場所 | 埼玉県越谷市 KU邸(個人宅) | ||
納品住所 | 埼玉県越谷市 | ||
ご注文回数 | 2 回|お客様リピート実例へ |
加工内容
椅子種類/分類1/分類2 | ソファ/モダンタイプ / 3人掛け肘付きソファ |
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加工内容 | 張り替え |
数 量 | 1本 |
生地 | 革 |
柄/フェイス/織り | プレーン / ビニールレザー |
生地調達方法 | サンプル帳より購入 |
加工費 | 3人掛け肘付きソファの張り替え加工費 @ 176,000 円(税別 160,000 円) |
その他の費用 ご依頼条件にて異なる |
革代、ウレタン代、送料(引き取り・納品代) ※加工費の他に上記の費用がかかりました |
作業内容の詳細 | 座面・背もたれウレタン交換、1枚革で座面・背もたれを型取り |
カタログNO_B162
加工内容
椅子種類/分類1/分類2 | ソファ/モダンタイプ / 2人掛け肘付きソファ |
---|---|
加工内容 | 張り替え |
数 量 | 1本 |
生地 | 革 |
柄/フェイス/織り | プレーン / ビニールレザー |
生地調達方法 | サンプル帳より購入 |
加工費 | 2人掛け肘付きソファの張り替え加工費 @ 132,000 円(税別 120,000 円) |
その他の費用 ご依頼条件にて異なる |
革代、ウレタン代、送料(引き取り・納品代) ※加工費の他に上記の費用がかかりました |
作業内容の詳細 | 座面・背もたれウレタン交換、1枚革で座面・背もたれを型取り |
Before & After
ソファ張り替え
HPをご覧いただきお見積りフォームからソファの張り替えの件で直接お電話をいただきました。私が留守であったために、折り返し連絡差し上げ、最終見積もり兼、お引取りにおうかがいする日時を決定いたしました。ソファは2人掛けと3人掛けの革張りのソファで、張り替え後は形状をKUさんがお使いになり易いように座面を1枚で作るなどのリフォームも行います。2人、3人掛けソファの張り替え加工費は195,000円。張り替え後も革で張らせていただきますので別途革代がかかります。今回はKUさんのご希望で、2回に分けて張り替え加工を行わせていただきます。
一生モノのソファ
KUさんはこのソファと一生付き合っていこうと考え購入されたそうです。使い込んでいくうちに革の表面は傷み、使いはじめてからのソファに対する要望もいくつかでてきたそうです。その要求を”AZUMAのイス張り職人”にぶつけてくださいました。それは、既製品の”平均的に良いイス”とは違った、言うなればご使用になるFUさんのための”FUスタイル”のソファになるための要求でした。
要望
2人掛けも3人掛けも座面と背もたれは真ん中で2つに割れていました。FUさんがソファを使ってみて感じたことのひとつは「腰掛けると真ん中に傾いてしまう」と言うことでした。確かに真ん中で座面のウレタンが割れていますからその部分が極端に柔らかくなってきてしまうことも考えられます。ですから、今度は割れ目を入れず1枚で作ってしまおうという要望でした。
FUさんの3人掛け肘付きソファの幅は2m20cm。革は天然の牛革ですから1枚でとれる大きさに限りがあります。アラ・カワも引き取りにうかがった時点では1枚革で取るのはかなり難しいことだと考えておりましたので、KUさんには肘のところで接ぎ目が入ってしまう可能性がかなり高いことを説明させていただきました。KU邸ソファ張り替えは親方の井ノ上がかからせていただきましたが、親方が革のメーカーに背表と背裏の革のサイズを明確にし、その大きさが取れる、かつ、キズのない上質な革を頼んで探してもらいました。何日か後に革やさんから「希望の革が見つかったので手配します」と連絡が入り、KUさんのご希望通りすべての箇所を1枚革で取れることになりました。
材料が揃ったところで、いよいよソファの張り加工に移っていきます。真ん中で2つに割れていた座面を割れ目なしで1枚のウレタンで作ることにより、腰掛けたときに、身体が座面の真ん中方向に傾いていた座りにくさを解消し、どこに腰掛けても均等な座り心地を得られるようになりました。柔らかい中にも弾力のある座面に深々と腰掛け、背もたれに寄りかかると、要所要所のポイントを押さえた背もたれの弾力を感じることが出来ます。
当初、背もたれなどの革は数枚の革を縫製して1枚の背表の型を起こしていましたが、この方法は、製作メーカーの苦肉の策とも言える、手法かもしれません。「デザイン」と見ればデザインであり、「継ぎ接ぎ」と見れば継ぎ接ぎとも取れます。これは両方のニュアンスがあると思いますが、大量生産と比較して、”張り替え”の様な少量の加工であれば、継ぎ接ぎしていこうが、1枚で取ろうが革の使用する革の枚数はほとんど変わることはありません。ですから、せっかくであれば、革を贅沢に楽しんでいただいた方が良いと考えております。KUさんのソファの様に出来る限り1枚で型取られたソファはそうは見かけることが出来ないと思います。
ReChair椅子張り職人の仕事
● 1本のバネを連結してひとまとまりへ ●
写真は座面のを裏から見たところで、座面の構造でSバネ(波バネ)が使用されておりました。張り替え前後の写真の相違点はそれぞれのバネにかけられたバネ糸(白)です。このバネ糸は大きな役割を果たしています。ひとつひとつ単体だったバネに上から力がかかるとき腰掛けた部分のバネだけに力がかかってしまいますが、バネ糸によって連結されたバネにはバネ全体で力を支えることが出来ます。これにより、バネの上に被せられた布地や、その上のウレタンの消耗を抑制できます。結果的に張り替え後の座り心地の状態が長持ちするということになります。
この写真は、肘のトップ(上端)部分の構造をそこから見たところですが、イスの場合、骨組みだけ木で作ってあることがふつうですので、ウレタン等を乗せるときは何かしらで柱と柱の中に平面を作ってあげなければなりません。そこにどんな材料を用いるかという説明になります。
張り替え前は厚紙が張り替え後はナイロンテープ&布地です。一見厚紙の方が強そうですが、いかんせん紙は伸縮性に乏しく、力が加わり続けると裂けてしまいます。これが先に伸びにくいナイロンテープを要所要所に引っ張って張り、その上に布地を被せるようにピンと張るとしっかりとした平面が出来上がります。この方法ですと布地の適度な伸縮性とナイロンテープの張りとが噛み合わさって、長年使っていくうちに伸びたりはしますが、厚紙と比べると裂けて切れてしまうまでの期間はこちらの布地を使った方が長持ちします。イスを長く使っていただくための方法を当たり前のように知っていますので、気が付いたことは手間をかけさせていただいております。
● 中身ウレタン ●
20年ほど前の鼓バネと呼ばれるコイルスプリングを主に使用していた時とは違って、近年のソファの座り心地を左右する要因のひとつとして挙げられるのが、「どういったウレタンをどう使うか」と言うことになります。通常”AZUMAのイス張り替え”では硬めのウレタンを作らせていただくことが多いのですが、FUさんのご希望が「柔らかく、弾力のある座り心地」と言うことでしたので、いろいろな組み合わせを考え、試し、結局のところ座面は4重構造になりました。重ねれば良いということではありませんが、柔らかさや弾力の違うウレタンを適度に組み合わせることによってFUさんのご希望に添えるように何度も腰掛けて、その感覚で作っていきます。このようにして作られたウレタンを使ったソファの座り心地はFUさんにも喜んでいただきました。
お客様のレビュー
埼玉県越谷市 KU邸(個人宅)
1.張り替えの仕上がりに関するご感想
今回は約14年前から使用している2人掛けと、12年前から使用の3人掛けソファーの張り替えを発注させていただきました。購入時期は同じだったのですが、3人掛けの方は購入先の倉庫で2年間保管(当時はワンルームマンションに住んでいたので両方を置くスペースが無かったため)していただき、現在の自宅新築と同時に搬入してもらいました。
フランス製の革張りルーズフィットタイプのゆったりしたソファーで座面の奥行き(オトナが胡座をかいても、座面先端に余裕アリ)と、腰のあたりの柔らかなサポートとデザインに惚れ込み、他の家具もそうであるように、一生物という基準で購入しました。
毎日快適に使用しておりましたが、先に使用していた2人掛けの方に、本皮特有の耐年変化であるヒビ割れと、一部擦り切れがここ1年くらい前から気になりだしておりました。
今の住まいのリビングでは、正直なところソファーの迫力に部屋の造形が負けて?いると常々感じている中で、4年くらい前から東京に引っ越すべく計画をしておりました。
私にとりましては、2件目の自宅建設となりますので、3度目の新築というような、あまりにオゾマシイ?夢を見ないように、駅から徒歩5分とか南西の角地とか、敷地面積他の建築条件についても絶対に妥協しない前提で、土地を捜しておりましたが、やっと3年目の昨年10月に条件に99.9%近い土地を見つけ出し、現在建築中で今年の暮れには引っ越す予定でおります。
終の棲家の前提で、ダイスキな家具を配置するスペースが確保できたので早速、売り場面積が日本一という某家具店のショールームで、かねてから欲しかったメープルバーズアイのナチュラル色で家具を揃え、ソファーも黒革張りの2人掛けと3人掛けを物色しておりましたが、デザイン的には優れていても、現在の座り心地を上回るモノには出会えませんでした。
そもそも、一生モノで選んだのですから、これは初心に帰り、張り替えをして死ぬまで?愛用しようと再決意をして、張り替え業者の選定に入りました。当然インターネットのホームページの「張り替え」サイトを検索して、複数の専門業者のアクセスしてみた結果、ホームページに掲載された写真にある職人然とした「オヤカタ」の風貌、そしてそれを支える数名の椅子張替え職人の面々の自信に満ちた、オメメの輝き、また張り替え前後の様子と、張り替え実例が実に多く掲載された精度が高く、とても工夫が行き届いたホームページが、「腕に自信アリ、やらせてみろ」と訴えておりました。「じゃあ、やってもらおうか」の感覚でコンタクトをさせていただきアラ・カワ様と数回の電話打ち合せの後、自宅に来ていただき、無謀とも言える注文をさせていただきました。
それは、背面が2メートル20センチ、座面が1メートル80センチの3人掛けのソファーを一枚革で張り直していただきたいというモノで、背面と座面が2分割されている現在のカタチをフラットなスタイルに替えて欲しいというリクエストでした。
そして、その結果は想像以上の仕上がりで、家具が分かるヒトには「ムムム...」の状態で納品されました。材料仕入れにも、さぞご苦労されたことでしょう。「一枚革」を実用家具に使う贅沢さと、造形作品として眺める嬉しき日々です。包み込む中にも張りがあるルーズフィット感を希望したとおり、張り替えた革が馴染んだ後のタワミ具合を計算した仕事をしていただき見事に張られた一枚革が奏でる、グラマラスなグラデーションとランバーサポート効果が増幅された、腰のある座り心地には、満足という言葉を超えた、至福のモノに生まれ変わったというのが最適な表現です。本質的に張り替えをするモノ自体のフレームやネジリ剛性等の品質がGOODである必要があるとは思いますが、良いものが、これ以上良くすることができないレベルに達したというのが実感です。
2.張り替えを注文するまでの不安
張り替えには、新品を購入するのと同程度、またはそれ以上のコストは必要ということは承知しておりましたので、やはりヒトは「どうせなら、新品を買ったほうが良いジャン」的な考えになりがちです。つまり、「それだけ、出すなら.......」というのが偽らざる感覚であり、事実私もそうでした。
つまり、張り替えという手法の効果を経験してみないと、その費用対効果が不安であり、また、座り心地の変化に対しても同様の心境でした。しかし、今回はホームページにより、いわゆる「使用前、使用後」といった「絵(写真)」による実例を詳細に検証したうえでの依頼でしたので、ホームページを見た時点で、不安が期待に変わり、何の心配も無く「東さんちのアラ・カワ丸」という船に乗らせていただくことができました。
3.アラ・カワの接客態度
20代半ば過ぎとお見受けする、Mr.アラ・カワにおかれては、その清潔なイデタチの好青年的モノ腰と、自信を漂わせた明確な説明、そして私の個人的な好感度において過去に接した職人さんと呼ばれる各業種の方々の中で、ズバ抜けてOKです。閲覧する側の視点で緻密に計算されたMr.アラ・カワ作られたホームページには経営的なセンスの良さを感じます。多いに経験を積んでください。東アラ・カワ丸が外洋に向かい帆を張る時を期待します。信頼に足るヒトとして、友人、知人に何の不安もなくMr.アラ・カワを紹介できます
4.その他お気づきになった店
日本において、西欧のようなマイスター制度は具体的に確立されていませんが、椅子の張り替え技術は、職人芸としてもっと広く認知されるべき技術であると考えます。どうか、そのワザに磨きを掛けられて、多くのヒトに張り替えの素晴らしさをケイモウしていただきたく期待いたします。