イノ・ウエの独り言 
井ノ上が日頃”椅子張り職人”として感じたこと

2016年 10月 17日
上松技術専門校(長野県)にて椅子張り説明会

経緯

前回うかがった際に、学校の先生からは
秋頃に椅子張りの説明会をさせて頂けるということでした。

10月16日(日)、17日(月)と
全日本椅子張同業組合連合会の総会が
岐阜県高山市で行われるため、
帰り道に長野県の上松技術専門校さんに
寄らせていただければと前もって連絡し、
相談差し上げたところ、ご快諾いただきました。

前回のお話しでは、
授業後に希望者のみ募っての椅子張りの説明会ということでしたが、
授業中に1時間時間をとっていただき、
木材造形科の生徒さん全員と先生方が椅子張りについて、
私の話を聞いていただけることになりました。

準備

それでは、私も一層気合いを入れてと、
椅子張り技能検定1級の実技試験で作業する様な、
あおりバネの丸スツールの下拵え部分を、
中身が見える様に段々に仕上げていく様な教材を
製作していこうと張り切って準備しました。

木枠に鼓バネをのせ、
固定しあおりにして、
中バネは木枠に打った力布(麻テープ)の上にバネ糸で絡げ、
番線とおありバネをセル糸で絡げて固定してバネを連結させます。

間をはしょりますが、
更に、今回はパーム椰子を詰め物として、束土手を作ります。
更にパーム椰子を詰め込み、
白綿を上にのせ、
下張り生地を土手に手縫いで絡げていきます。

当日の話の流れについては、
職業訓練指導員の免許を取得するための講義で
授業の準備について勉強したことを思い出しながら、
さらに、木工科の生徒さんをイメージしながら
レジメを箇条書きで作成していきました。
声に出して読めば5分程度に要約した資料を作成し、
1時間で納まるようにまとめ上げました。

椅子張り説明会用に用意した資料

今回の椅子張りの説明会用に私が用意した資料の
授業内容は以下の通りです。

1.自己紹介
2.椅子と椅子張りについて
 2-1.椅子張りとは?
 2-2.椅子の背景
 2-3.椅子の役割
 2-4.椅子張りでできること
3.椅子張りの基礎について
 3-1.椅子張りの工程
 3-2.下拵え作業
 3-3.型取り作業と縫製作業
 3-4.裁ち作業
 3-5.張り加工
 3-6.椅子張りの基礎
4.現在の椅子張りについて

上松技術専門校(長野県)にて椅子張り説明会 2016年10月17日

当日、午後4時から5時の1時間を頂いており、
予定よりも早く学校に到着しましたが、
教室へ移動し準備等で説明会が始まったのは4時ちょっと前。
はじめは先生から私の紹介をして頂きました。
実は私は極度のあがり症で、人前で話すことは苦手なのですが、
椅子張りの為と、しっかり息を吸って挨拶をして、
予定どおり自己紹介から説明会を開始しました。

人前で1時間の時間を頂いて話すという様なことは初めての経験でした。

レジメを箇条書きで用意し、
生徒さんの反応を見ながら肉付けをして、
話しが出来れば1時間話せるだろうと考えていました。

しかしながら、緊張や肉付けが大きくなりすぎたり、
あとで話すことと順序立てていたのにもかかわらず、
後の話と絡め過ぎてしまったり、
私が思い描いていたよりも、
1時間があっという間でした。

途中途中で持参した椅子について説明を付け加えたり、
生徒さんに椅子の材料をまわして触れてもらったり、
私の失敗から得たことなどを交えながら話を進めました。

また、今回のために用意した
丸スツールのあおりバネの下拵えの工程が分かる椅子を
椅子張りの基礎として位置づけて説明を行いました。

説明会は1時間を予定しておりましたが、
結局のところ、90分となってしまいました。

5時に授業を終えたら何か予定のあった生徒さん方もいたかと思うと、
私の経験不足で迷惑を掛けしてしまいした。

資料にある内容の説明を終えたところで
質問の前に、一度先生にお戻しして、
授業を終えていただきました。

授業後

用意した椅子達に実際に腰掛けて
座り心地を比較してもらったり体感してもらいました。

下拵えや、生地の革についてのご質問もあり、
私の経験の中で返答させてもらいました。

椅子張りをやったことのある生徒さんも紹介していただきました。

まずは、椅子や椅子張りの知識として、
印象付いていただければ光栄です。

この度は、大変貴重なお時間をいただき改めて感謝申し上げます。

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