カタログNO_C282
きっかけ | リピーター | 当社への連絡 | お電話 |
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引取方法 | 家財宅急便 | 引取日 | 2002-03-16 |
依頼加工内容 | 工房での作業 | お預かり期間 | 196日間 |
納品方法 | 納品 | 納品日 | 2002-09-28 |
納品場所 | 東京都千代田区 EN邸(個人宅) | ||
納品住所 | 東京都千代田区 | ||
ご注文回数 | 4 回|お客様リピート実例へ |
加工内容
椅子種類/分類1/分類2 | ソファ/木地だしタイプ / 3人掛け肘なしソファ |
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加工内容 | 張り替え / 鼓バネ吊り直し / 塗り替え |
数 量 | 1本 |
生地 | 布地 |
柄/フェイス/織り | 花柄 / ジャガード |
生地調達方法 | サンプル帳より購入 |
加工費 | 3人掛け肘なしソファ張り替え加工費 @ 132,000 円(税別 120,000 円) |
その他の費用 ご依頼条件にて異なる |
布地代、ウレタン代、木部修理代、木部塗り替え代、送料(引き取り・納品代) ※加工費の他に上記の費用がかかりました |
作業内容の詳細 | ・木枠修理 ・木部塗り替え ・鼓バネの吊り直し加工 ・張り替え加工 |
カタログNO_C282
加工内容
椅子種類/分類1/分類2 | ソファ/木地だしタイプ / 1人掛け肘なしソファ |
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加工内容 | 張り替え / 鼓バネ吊り直し / 塗り替え / ウレタン交換 |
数 量 | 2本分 |
生地 | 布地 |
柄/フェイス/織り | 花柄 / ジャガード |
生地調達方法 | サンプル帳より購入 |
加工費 | 1人掛け肘なしソファ張り替え加工費 @ 44,000 円(税別 40,000 円) |
その他の費用 ご依頼条件にて異なる |
鼓バネ吊り直し加工費、布地代、ウレタン代、木部修理代、塗り替え代、送料(引き取り・納品代) ※加工費の他に上記の費用がかかりました |
作業内容の詳細 | ・木枠修理 ・塗り替え ・鼓バネの吊り直し加工 ・張り替え加工 |
カタログNO_C282
加工内容
椅子種類/分類1/分類2 | ソファ/木地だしタイプ / 1人掛け肘なしソファ |
---|---|
加工内容 | 張り替え / ウレタン交換 / 塗り替え / 鼓バネ吊り直し |
数 量 | 2本 |
生地 | 布地 |
柄/フェイス/織り | 花柄 / ジャガード |
生地調達方法 | サンプル帳より購入 |
加工費 | 1人掛け肘なしソファ張り替え加工費 @ 44,000 円(税別 40,000 円) |
その他の費用 ご依頼条件にて異なる |
鼓バネ吊り直し加工費、布地代、ウレタン代、送料(引き取り・納品代) ※加工費の他に上記の費用がかかりました |
作業内容の詳細 | ・木枠修理 ・塗り替え ・鼓バネの吊り直し加工 |
Before & After
ソファ張り替え
「B095 EN邸」、「B191 EN邸」でお世話になったENさんから、昭和初期に製作された応接セットの張り替え・塗り替えの件で、直接お電話をいただきました。応接セットの内訳は、2人掛けx1、1人掛けx2、肘なし1人掛けx1となっております。その時代の椅子の構造は、鼓バネを用いた工法が主流でした。現在ほど大量生産化が進んでいないため、木工、塗装、張りのそれぞれの職人が手間をかけ、1つの椅子を作り上げていたと思われます。シンプルなフォームですが、要所要所に職人の仕事がうかがえます。鼓バネを用いた応接セットの張り替え加工費は285,000円。この他に布地代と送料がかかります。今回は中身を鼓バネとウレタンで作らせていただきます。ちなみに、もとはバネと藁、黒綿で形成されていました。
EN邸のソファは昭和初期に特注で職人が手間をかけて製作したものだそうです。シンプルな形状ですが、座面には鼓バネが入っており、独特の座り心地を堪能できます。アラ・カワの個人的な考えとしては、鼓バネを使用するとバネ吊りなどの作業に非常に手間がかかりますが、手間を掛けた分だけその座り心地に満足できます。鼓バネを頻繁に使用していた時代のソファの座り心地が、現在のソファの目標になっているのは間違いないと思います。当時ウレタンというものはなく、鼓バネに弾力があるため、中材にはワラや綿が使用されていました。現在ではウレタンが中材の主流となっておりますが、このウレタンの弾力は鼓バネの上にのせることで非常によい座り心地になります。”AZUMAのイス張り職人”は、イス張りの基本となる技能と現在のより良い材料を組み合わせることで、より良い座り心地のソファに張り替えさせていただきました。
1人掛けの肘つきソファは2人掛けと幅違いのソファで奥行きや高さ等はまったく同じサイズのソファです。肘=脚となっており、肘のない状態ではソファの形状になりません。この肘の取り付け方も今回の張り替えで変更させていただきました。といっても、張り替え前後を、どう比べてもその違いに気付く人はいないと思います。しかし、なぜここであえて述べるのかというと、このソファを製作したときは、イス木地職人→塗師(塗装)職人→イス木地職人→イス張り職人という順でこのソファが出来上がったのだと思います。そのため、イス張り職人のところに木枠が来たときには、塗装された肘が取り付けられた状態だったと思われます。そのために、肘部分を取り外さずにそのまま、布地に切り込みを入れて張っていったものと思われます。しかし、今回の張り替えでは、イス張り職人→塗師職人→イス張り職人という順に仕事が行われたために、布地などをすべて木枠から取り外して、木枠だけの状態にして肘を取り外せることに気付きました。塗師職人には肘と肘なしソファのみを持ち込んで塗り替えてもらいました。取り外せることが分かったので、ソファ本体は本体で先に張りまでの作業を仕上げることで、布地に切り込みを入れずに張ることが出きました。布地への切り込みを入れるのは、入れなければ張れないときだけで、基本的には入れるよりは入れない方が強度的には強いはずです。そのために肘は後から取り付けました。張り替えの場合、”AZUMAのイス張り職人”にとっては、もとの張り方はあくまで参考であり、「新品以上に...」を概念に仕事をしているために、より良い下ごしらえ、張り方、仕上げ方を念頭において仕事をしています。
今回張り替えさせていただいたソファのうち、この1本だけ肘が付いていないソファでした。もっともこぢんまりしているこのソファは、スツール的な要素でつくられたものだと思います。つまり、肘付きのソファですと、応接間としてはお客様や、ご主人などが腰掛け、この肘なしのソファは、お茶を出したりなんだりと女性の方が、どっしりというよりも、ちょこんと腰掛け、座り立ちが横方向からもできるように、加えて、スツールでは背もたれがなく、リラックスできないために、奥様のことを考えて背もたれをきちんと付けてつくられたのだと想像できます。そのために、このソファはあまり奥行きがないのでしょう。”AZUMAのイス張り職人”は、イスを張る上で、イスの使用目的を考え、イメージしながら仕事をすることは、非常に大切なことだと考えています。そのイスの役割を考えずつくられたイスは、イスの形をしていても「腰掛け」に過ぎないのかもしれません。”AZUMAのイス張り職人”は「腰掛け」ではなく、「イス」として仕上げています。そのために、様々な工夫を凝らし、技能を振るい、イスを張り上げています。最後に、すばらしい仕事を見せていただいたこのソファの制作者である職人さんに敬意を払いたいと思います。大変良い仕事を見させていただき、奮起して仕事させていただきました。非常に長いお預かり期間となってしまいましたが、納品の際、ENさんにはお喜びいただきました。
ReChair椅子張り職人の仕事
一度張り替え経験があるそうですが、その時にはあまりバネの状態は気にならなかったのか、バネの吊り直しをせずに、バネをのせている力布(6mm幅ほどの麻製の面テープ)の下側から水色のナイロン製面テープを張ることで垂れ下がる力布の補強をしていました。今回の張り替えでは鼓バネの吊り直しも含めてのご依頼をいただきましたので力布縦横方向へ木枠に打ち付けて力布の交差する場所へ鼓バネを置いていきます。それぞれのバネの上端をバネ糸で縦横方向に絡げていくことで、バネを固定すると同時にいくつかのバネをつなぎ合わせて面として力を受けられるようにします。バネの下端を力布と固定しますが、このとき、バネを固定するのにもっとも友好的な方法は3点止めです。正三角形になるようにことにすることで円形のバネの下端はどの方向にも動かなくなります。その後にバネの上端を今度は斜め方向に絡げてることでさらに面として力を受けられるようにします。
「かぶせ」という工程に入りますが、バネ糸で絡げたバネの面の上からさらに布地を張り完全に面とします。このとき、「かぶせ」をする前にバネの面の上に綿を1枚敷いてから「かぶせ」をします。「かぶせ」をする理由にはバネの上から直接ウレタンなどを置くとウレタンにバネがどんどん食い込んでいって、終いにはウレタンを切ってしまう恐れもあるからです。「かぶせ」したあとにチップウレタン(硬めのウレタン)を土手の内側に入れ、さらにもう1枚、チップウレタンをのせた後、柔らかく弾力のあるウレタンをくるむように貼り付けます。ここまでを下ごしらえとします。
肘と脚の木地だし部分の塗り替えも同時進行で行いました。以前、塗り替えさせていただいた箱物やイスと同じように「古さを生かした」塗り替えをご依頼いただ来ました。せっかくなので同色に近い色、仕上げにしたいと思い、以前、塗り替えさせていただいた小椅子を1脚色見本としてお預かりしました。その塗りは見事でした。見本通りにきっちりと塗り替えてもらいました。塗師(家具塗装)職人にとっては、塗り替えもしっかりとした技能として仕事をしてくれますので、その仕上がりは、イス張り職人としての張りの仕事へのボルテージを上げてくれます。