カタログNO_A006
きっかけ | HPより | 当社への連絡 | 見積もりフォーム |
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引取方法 | お引き取り | 引取日 | 2000-06-20 |
依頼加工内容 | 工房での作業 | お預かり期間 | 72日間 |
納品方法 | 納品 | 納品日 | 2000-08-31 |
納品場所 | 埼玉県朝霞市 IT邸(個人宅) | ||
納品住所 | 埼玉県朝霞市 | ||
ご注文回数 | 初回 |
加工内容
椅子種類/分類1 | ロココ調小椅子/鼓バネ使用 |
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加工内容 | 張り替え / 鼓バネ吊り直し / ウレタン交換 |
数 量 | 4本 |
生地 | 布地 |
柄/フェイス/織り | プレーン / モケット |
生地調達方法 | 在庫張り地使用 |
加工費 | 鼓バネを用いた小椅子の張り替え加工費 20,000円(税抜)*総額表示義務付施行前 |
その他の費用 ご依頼条件にて異なる |
布地代、ウレタン代、鼓バネ吊り直し加工費、鋲代、引き取り・納品代 ※加工費の他に上記の費用がかかりました |
作業内容の詳細 | ・クラシックな小椅子の張り替え ・鼓バネの吊り直し |
Before & After
ロココ調小椅子張り替え
台風3号の中、通行止めの道路を突っ切って伊藤邸へお見積もりにうかがいました。伊藤さんとお会いしてびっくり!アラ・カワと同年代のお客様をお相手するのは始めてのことです。今回のご依頼は、インターネットオークションで手に入れたというロココ様式の小椅子が4脚。”張り替えたらきれいになる?”との質問に自信を持って”はい”と答えさせてもらいました。
しかし、ロココ様式のバネを用いた椅子ですからバネを1本、1本バネ糸で絡げていかなければなりません。この作業で椅子の善し悪しが決まってしきます。ここは”AZUMAのイス張り職人”の腕の見せ所です。すべて手作業で技の見せ所でもあるロココ様式のバネ椅子です。最高の仕上がりにして納品させていただきました。
いやー、自分で言うのも何ですが、”満足のいく出来映え”です。特に座面のしたごしらえが大変でした。実際のところこういったバネ椅子は1年の間で数えるほどしかないでしょう。これからは、ひとつひとつバラバラになっているバネをバネ糸で絡めていく工程が出来ない職人さんも増えてくると思います。そういった意味では、”AZUMAのイス張り職人”は手間を惜しまない仕事をする親方のもとで技能を修得でき、職人として胸を張ることが出来ます。
現在では、材料の発達と共に職人の手間も省けるようになってきましたので、良い技能と良い材料を組み合わせて、今できるBESTの方法で張り替えさせていただこうと思います。それだからこそ、このような手間仕事で手を抜くわけにはいきません。座り心地の良い椅子を張り上げるためにおおいに手間をかけてあげたいものですね。今回の伊藤邸の小椅子はおおいに手間をかけさせていただきました。
当初は7月末日頃、新築中のご自宅が出来上がってからの納品というお話でしたが、11月初旬に「見通しがついたので11月18日頃の納品の予定を組んでください」とメールをいただきました。納品日、ちょうど引越しの日と重なったようでしたが午前中の納品でしたので納品は比較的障害物もなくすんなり3階まで上げることが出来ました。伊藤さんご自慢のバーカウンターのある部屋に足を踏み入れたときびっくりしました。大きなスピーカーがドンドンと2つ置いてありカウンターの中にはミニキッチンというよりは立派なキッチンがありました。カウンターの中にはオーディオのアンプやCDプレーヤーなどが置かれおり、その隣のスペースにはTVとAVをふんだんに満喫できるスペースがありました。そして小椅子はカウンターに4脚並べられました。前から、後ろから、横から、あらゆる方向から置かれた小椅子を眺めてきました。私もなんだか「この椅子に座ってカクテルなど飲んでみたいものだなぁ」と考えていました。
ReChair椅子張り職人の仕事
1.張り替え前
2.張り替え前のかぶせ
4個のバネをかぶせた布の上から麻糸で結んでいるだけでした。
3.張り替え前の鼓バネ
バネは4個。バネを乗せるテープは通常の幅を2つに裂いたものを使用していた。バネと下のテープは特に固定していませんでした。
4.木枠
すべてはがして木枠だけにします。
5.力布
バネを一つ増やして5個乗せられるようにさらにテープは元来の麻テープをケチらず使用し縦と横のテープを交互に引っ張り打ち付けます。さらにタッカーは使わずに釘を用います。
6.バネ吊り
バネ専用のバネ糸を使用して縦・横・斜めとバネとさらに交差する糸を絡げて固定します。もちろん、麻テープとバネもセリ糸で固定しバネの位置を決定します。
7.綿を敷く
上にかぶせる布地をバネが破らないように綿を敷きます。また、綿を敷くことで布とバネの擦れる音を防ぐ効果もあります。
8.かぶせ
麻でできた布をかぶせて打ちます。これをしないとこの上に置くウレタンにバネが食い込んでウレタンの消耗が著しく早くなってしまいます。
9.土手を作る
椅子の縁を型くずれしないように土手を作ります。以前は麻布に藁を巻き込んだものを手縫いして形作っていました。
10.綿を詰める
土手との段差を無くすために綿を詰め込みます。
11.チップウレタン
チップウレタンをかぶせてのり付けします。このチップウレタンがオーダーメイドの材料です。いろいろな固さが有りそれを椅子によって使い分けています。
12.角を落とす
仕上がりで丸みを出すために固いチップウレタンの角を落とします。
・右:切り落とす前
・左:切り落とした後
13.ウレタンを巻く
直接、人の触れる部分には柔らかくて弾力のある比重の高いウレタンを使います。それをノリ付けします。
14.張り地を張って鋲を打つ
張り地(IT邸の場合は布地)を張って座面を仕上げます。イスの座り心地は下ごしらえがほとんどの割合を占めますので、張り地は最後に化粧をして仕上げるのと同じです。また、最後に鋲を打って仕上げますが、この鋲は飾り鋲です。
15.背裏用の張り地を張る
背面から見える背裏を表から張ります。この後の作業でノリを吹いたりし、木枠が汚れる可能性があるため背裏の切り落としは最後に行います。こういった配慮は仕事をきれいに、早く行うための考えから、こういった手順は親方からたたき込まれています。
16.テープ張り
背裏地の張り強度の補強のためにテープを強く引っ張って張ります。この工程と行っていないイスも最近ではよく見かけます。この工程の効力は、張り地が多少劣化する数年後以降から出てきます。
17.かぶせ
テープの強度を分散出来るようにさらに強い布地でかぶせ張りをする。もうひとつのねらいとしてウレタンをのり付けする際に接着剤が背裏地に浸みにくくなります。
18.ウレタン+綿
座面よりも弾力性の低い、比較的柔らかいウレタンをのり付けした後、ボタンで凹凸を付けるために厚めにナイロン綿を上に敷きます。
19.背表張り(ヒダ撮り)
ボタンを付け、ヒダを取りながら背表地を張っていきます。張り終わったらカッターですべての布地を切り落として背表を仕上げます。
20.完成
背表の縁にも飾り鋲を打ち付けて完成となります。
お客様のレビュー
埼玉県朝霞市 IT邸(個人宅)
1.張り替えの仕上がりに関するご感想
お世話になります。HP、見ました。ありがとうございます。自分の部屋がインターネットにのるっていうのは何だかとても嬉しいですね。ゴージャスな仕上がりで大満足です。
2.張り替えを注文するまでの不安
ゴージャスな仕上がりで大満足です。
3.アラ・カワの接客態度
100点です。自信に満ちたアラ・カワ・スマイルで不安も吹き飛びました。
4.その他お気づきになられた点
布地が無料で大助かり。接客の良さにウデの良さが表れていると思いました。